「構造化」された環境
構造化とは
1963年にアメリカのノースカロライナ州で、自閉症の人たちのために開始された「TEACCHプログラム」の中の指導法の一つです。視覚に強い、先の見通しが付かないと落ち着かない等の、自閉症の障がい特性を踏まえ、活動場所や環境をわかりやすくシンプルに構成する工夫(環境の調整)を行います。現在では自閉症に限らず、ADHDなどその他の発達障がいの人たちにも有効とされています。
構造化の種類
●スケジュール(時間の構造化)
次に起こることの予告
●場所の構造化
理解しやすく集中できる空間
●視覚的構造化
指示書・リマインダー・絵カードなどの活用
●ワークシステム(自立課題)
どこで何をどのくらい行うのか
●個別スケジュール
●プレイエリア
●個別学習エリア
●小集団活動エリア
●リラックスエリア
構造化の目的
時間の見通しがつき、場所の意味が分かることによって、落ち着いて自立して過ごせるようになります。視覚や音などの苦手な刺激を調整することにより、周囲への注意が減って、集中して活動できるようになります。子ども達にとって過ごしやすい環境を提供することで、パニックやトラブルなどの問題行動が減り、望ましい行動を学習します。
「自立課題」を活用し、自立を育てる
自立課題とは
子ども達の学習や発達の基盤づくりのために、構造化を用いて開発された作業箱です。最初にスタッフと取り組み、自分でできた自立課題を個別ブースで、一人で取り組みます。
自立課題の種類
●微細運動
プットイン(物を入れる)、組み立て、書く
●マッチング・分類
具体物と絵を合わせる、色や形の識別
●ことば
単語の学習、文の構成、絵と感情を合わせる
●算数
数字の学習、時計の読み方、お金の数え方
※スタッフの手作りで約100種類ご用意しておりますが、お子様の障がい特性に合わせながら、随時追加制作していきます。
自立課題の目的
マッチングや分類等により、認知的、言語的スキルを学習するうえでの基礎スキルを身に着けます。物と属性、言葉との対応関係を学習することで、意味の理解を促します。物を入れたり、組み立てたり、分解したりするスキルは、微細運動(手先の器用さや目と手の協応)の発達も促します。自分で課題を完成して終える能力は、家庭や地域、学校や職場など様々な場面で、将来にわたり必要なスキルです。「一人でできた」という達成感と成功体験を積み重ねることで、自信がつきます。
「ABA(応用行動分析)」で、ほめて育てる
ABA(Applied Behavior Analysis:応用行動分析)とは
スキナー博士(アメリカの心理学者)をはじめとする行動主義(人間の行動は学習によって獲得されたものであり、不適応な行動は誤った学習の結果として起こる)の考えから生まれた行動療法です。
ABA(応用行動分析)の目的
行動の前後の出来事に着目し原因を分析し、望ましい行動を教え(コミュニケーション、食事・排泄などの生活スキルなど)、望ましい行動を維持・般化(家庭や学校で適切な行動がとれるようにする)させます。また、ABA(応用行動分析)に基づく適切なほめ方で、子ども達に成功感を与え、やる気を起こさせ、問題行動(自傷、他害、こだわりなど)を減らし、よい行動を増やします。
遊びの中で「感覚統合療法」感覚統合(Sensory Integration)とは
エアーズ博士(アメリカの理学療法士)によって生み出された脳と行動の関連を示そうとする理論です。子どもが自分を取り巻く世界や自分自身のからだからの情報を、能動的に意味ある情報として受け取り、それを組織化(消化、吸収)して、環境に適応したり働きかけたりするプロセス全般を意味します。私たちがこの地球で、動いたり、触ったり、その動きを感じ取ったりして環境にうまく関わりながら生きていることそのものが、感覚統合の発達でもあります。
感覚統合療法の目的
感覚統合療法は、特定の技能の獲得を目的とするものではなく、人が環境をよりよく解釈し、その環境によりよく反応し、その環境とよりよい相互関係を結べるようにすることを目的としています。やまびこ学苑では、専門の作業療法士より技術指導を受け、子ども達が「好きな感覚」「必要としている感覚」を遊びの中で提供し、感覚面に配慮した環境によって、感覚統合を支援します。
みんなで楽しく「音楽療法」音楽療法とは
音楽の持つ生理的・心理的・社会的働きを、心身の障がいの回復、機能の維持改善、生活の質の向上に向けて、意図的、計画的に活用して行われる治療的、教育的技法です。
音楽療法の目的
やまびこ学苑では、音楽療法士によるレッスンを月一回実施(※)し、音楽に合わせてダンスしたり、様々な楽器を演奏したり、みんなで歌います。音楽を楽しみながら、子ども達の協調性や集中力を高めます。
※五島校・第二五島校・上五島校の場合は長期休暇中に限ります
楽しく学ぼう「ソーシャルスキルトレーニング」
SSTとは
ロバート・リバーマン教授(カリフォルニア大学ロサンゼルス校の医学部精神科)が考案した心理的療法です。対人関係や、集団行動を上手に営んでいくための技術のことで、対人場面において、相手に適切に反応するために用いられる言語的・非言語的な対人行動のことで、その対人行動を習得する練習のことをSST(ソーシャルスキルトレーニング)といいます。
SSTの目的
社会で生活していくために、対人関係を良好にしていく技能を身につけ、自信を回復し、ストレス対処や問題解決をできるスキルを習得していきます。やまびこ学苑では、ワークシートや、場面認知カードを使用したり、小集団での話し合いやクッキングなどで協調性を育みます。
公園あそびや外出行事で「のびのびイキイキ!」
楽しい思い出づくり
土曜日や祝日、夏休み等の長期休暇中の利用の場合、施設内だけでなく公園や体育館で遊ぶ日もあります。また、外出行事も定期的に行い、地域との関わりや集団活動を通じて様々な社会体験をし、社会性を身につけます。子ども達の楽しい思い出づくりに努めます。
外出行事等年間スケジュール(参考例)
※施設の所在地域やお子様の状態によって企画内容は異なります。
4月ーお花見会・ジェラート屋さん
5月ー水族館・芋ほり体験(芋さし)
6月ー自動車工場見学・外食体験
7月ー七夕祭り・昆虫自然公園
8月ー夏祭り・すいか割り
9月ー美術館・老人施設訪問
10月ー動物園・よさこい祭り
11月ー会社見学・芋ほり体験(収穫)
12月ークリスマス会・お買物体験
1月ー初詣・映画館
2月ー水豆まき・図書館
3月ー宇宙科学館・電車に乗る体験